木の名前の話vol.2『タモ』その2
みなさん、こんにちは
前回、木の名前の話vol.2としてタモについて書いたのですが、思ったより話が長くなったので2つに分けることにしました。
この記事が後半になります。
さて、前回はタモ、アッシュという名前が中心の記事でしたが、
モクセイ科トネリコ属 のトネリコって何だ?という話から書いていきます。
トネリコというのは、もちろん木の名前で
カタカナ表記で見ると海外の木っぽいのですが、れっきとした日本原産の樹木です。
名前の由来は、樹皮にカイガラムシの一種であるイボタロウムシが寄生していて、蝋成分を生成します。その蝋を襖や敷居の溝に塗り滑りを良くしていた事から、「戸塗り木」(トヌリギ)となり、転訛してトネリコになったそうです。
実は、この知識は記事を書く為に始めて調べたのですが、イボタロウムシと聞いてピンと来ました。
モクセイ科にはイボタノキという樹木がありまして、案の定イボタノキにもイボタロウムシが寄生するそうです。
もし、イボタノキより先にトネリコの蝋成分が利用されていたなら、
イボタロウムシはトネリコロウムシに、
もしくは、トネリコがイボタノキと呼ばれていたかもしれないですね。
このトネリコですが、他にも北欧神話?の世界樹の木のモデルになっていたり、何かと人々に愛されている木です。
タモの話その1で、トネリコについて触れなかった理由なのですが、
トネリコもタモもモクセイ科トネリコ属ですが、木材の流通量としてはタモが圧倒的に多いです。
そして、タモ材の中にはいくつも種類があるのですが、トネリコがタモ材として流通している という情報を見た事が自分はありません。
おそらく、同じような木材特性なので混同されて流通する事もあるとは思いますが、タモ材とは別の材という事で、記事は分けて書きました。
ちなみに、前回の記事に登場したアオダモですが、別名がコバノトネリコと言います。
小さい葉っぱのトネリコという意味ですね。
また、ヤチダモは逆にオオバトネリコと呼ばれる事もあり、
やはり、タモ≒トネリコ(≒アッシュ)に間違いありません。
ちなみに、アオダモの中にもヤマトアオダモ、マルバアオダモなどがありますが、樹種名としてはタモ基準で呼ばれる事が多いです。
また、トネリコも日本のトネリコ、ホワイトアッシュであるアメリカトネリコ、北欧神話のセイヨウトネリコとありますが、
中でも一番良く見かけるのはシマトネリコです。
シマトネリコは、住宅街を5分も散歩すれば必ず1本は見つかります。(広島県での体感)
シマトネリコは、別名タイワンシオジとも呼ばれ、沖縄、台湾、フィリピンなど東南アジア寄りな地域の樹木です。
日本でも西日本を中心に、洋風なお洒落なお家の庭には必ず植わっている。と言うくらいメジャーな木です。
たしかに、樹形も良く爽やかな印象で、洋風な雰囲気はありますが、実はアジアンな木なのです。
個人的には洋風な木と言えば、ギンヨウアカシア、ミモザなんかが好きですね。
自分は一人でマンション暮らしなので、小さめの苗を楽天で購入して愛でています。
ちなみに、木材としては、タモやアッシュとは異なり散孔材ですし、強度もありません。
タモは落葉樹、シマトネリコは常緑樹。気候も違いますし、同じトネリコ属でも木材特性は異なります。
葉っぱの形(羽状複葉)なんかはよく似ています。
↓タモ材
↓ホワイトアッシュ材
(当たっている光の違いで、色味がかなり違って見えます。すみません。)
まとめますと、
・トネリコは、戸塗り木から転訛した名前。
・幹にイボタロウムシが寄生している。(イボタノキも仲間)
・トネリコはタモ材と呼べるか微妙なところ
・タモも別名では○○トネリコと呼ばれるものもある。
ということでした。
タモ・トネリコに関することをおおよそ語りつくしたと思いますが、
また、思い出すことがあれば追記したいと思います。
身の回りにある樹木は多くのストーリーを持っていて面白いです。
北海道なんかに林業としてアオダモを植樹している地域があるそうなので、いずれ訪れてみたいですね。
それでは。