木の名前の話vol.2 『タモ』その1
木の名前の話、第2弾
今回は、タモ の話をします。
タモという木は、モクセイ科トネリコ属に分類される木で、比較的寒い地域に生育します。
本州の温暖な地域でも、ある程度標高の高い場所で見かける事があります。
↓広島県庄原市にて発見したアオダモ。広島市の三瀧寺辺りでも見ました。
北海道等寒い地域では、蓄積量も多いので材木としての利用もされています。
ただ流通してるのは中国やロシア産のタモが多いみたいです。
タモの中でも、アオダモは野球のバットに使われる事で有名な木で、王貞治・イチロー選手など多くの有名な選手に使われています。
ちなみに、アオダモって何が青いのか?と言いますと、
木の枝を水に浸けておくと、水が青い蛍光色になるそうです!
ネットで検索するとチラチラ記事が出てくるので検索してみてください。本当に綺麗な発色をしています。
さて、タモと言っても色々あるのですが、
次の4樹種の中で、一つ仲間外れの木があります。
どれでしょう?
・アオダモ
・シロダモ
・ヤチダモ
・シオジ
どう考えても、シオジが怪しい!!
のですが、残念ながらシオジはタモと同じくモクセイ科トネリコ属なのです。
正解はシロダモで、モクセイ科ではない仲間外れです。
シロダモはクスノキ科シロダモ属で、照葉樹林帯では一般的によく見られる樹木です。
木材としての特性も、樹木の特性も全く異なるのですが、
シロ→葉っぱの裏が白い事から
ダモ→タブが鈍ったもの
という理由でこの名前が付いたと言われています。(諸説あり)
タブ といえばタブノキの事で、シロダモ同様クスノキ科の仲間です。
クスノキ科の話はまた、別の記事にて紹介しましょう。
つまり、
タモという木は、特定の一樹種を指さず、アオダモ、ヤチダモ、シオジなどの事を指します。
(シオジはシオジと表記している事も多いです。)
ちなみに、ヤチダモのヤチは『谷内』と書き、谷の内側を流れる川の近く、水分の豊富な土地で育ちます。
これらタモ達は、世界的には『ジャパニーズアッシュ(Japanese ash)』という呼ばれ方をします。
つまり日本のアッシュ材という事ですが、
アッシュ材とは、北米のホワイトアッシュやスワンプアッシュなどに代表されるモクセイ科トネリコ属の樹木の木材名です。
これら北米のアッシュは樹木としては、アメリカトネリコと呼ばれます。
葉の形状や木材の特性も似ていて、本当に近縁種なのが分かります。
木材にした時、木目は似ていますが、アッシュの方が年輪の間隔が広く、色味もアッシュの方が白い印象なので、見る人が見れば見分けは付きます。
しかし、タモ同様にジャパニーズアッシュ材の中にも仲間外れの木が紛れ込んでいます。
それは、セン(栓)という木で、木材の特性がアッシュ・タモとよく似ています。
ギター業界では、このセンの木でボディを作りジャパニーズアッシュ材のギターとして販売していたことがありました。
センという木は、ウコギ科ハリギリ属の樹木で、モクセイ科ではありませんが、
木材特性が似ているから という理由だけでジャパニーズアッシュとされていました。
ちなみに、セン材の中でも、オニセン・ヌカセンという分類があり、硬く加工の難しい材がオニセン、それに比べ軽軟で加工の容易な材をヌカセンとよびます。
さらに、センは木材名で、センという樹木はありません。樹木として生きている時にはハリギリと呼ばれます。
樹木の見た目はトネリコ属とは全く異なり、
モミジの様な掌状脈の葉で、幹に無数の針を持つ樹木です。
新芽は山菜としても食べられます。
↓昔撮ったハリギリの葉
タモの話、大好きな木だけに話が中々止まらないですが、
とりあえず、ここまででこの記事は終わりにしようと思います。
最後にまとめると、
・タモは、モクセイ科トネリコ属でアオダモ・ヤチダモ・シオジなんかがある。
・シロダモはタモじゃない。
・タモ(樹木)=ジャパニーズアッシュ(木材)
・ジャパニーズアッシュとされるセンは、タモじゃない。
ここまで、モクセイ科トネリコ属と何度も書いて来ましたが、トネリコの説明もまだなので、またタモ・トネリコの話について追加の記事を書こうと思います。